フロンティア研究イニシアティブ:東北大学未来科学技術共同研究センター

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より安全・安心な原子力プラント用新技術・新材料開発基盤研究

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より安全で安心な原子力発電は今後とも日本の主要な電力供給源の一つとして必要とされており、より信頼性に優れた軽水炉設計への基盤技術の高度化が望まれる.そこで、本研究部門では、原子力発電設備の中でも世界の主流をなしている加圧水型軽水炉(PWR)プラントに対して、更なる安全性・信頼性確保のために、多様な潜在的損傷が顕在化する前に検知、評価し、適切な対策(いわゆるProactive Aging Management)を実現すべく、メカニズムから演繹される潜在的事象の予測とその対応を可能とする研究を推進している.具体的には、PWR 一次冷却系耐圧バンダリー用316 オーステナイト系ステンレス鋼及びNi 基合金、ならびにその溶接金属の応力腐食割れ(SCC)に関して、過度に保守的でなく、工学的に妥当な維持評価手法確立を図ること、さらに、より信頼度が高く、かつ経済的に妥当な材料開発を行うことを目指している.

放射光施設SPring-8によるnmレベルでのX線応力計測. 高性能電子顕微鏡によるnmレベルでの結晶粒界分析と粒内性状分析. 独自設計のオートクレープによる耐応力腐食割れ材開発試験
放射光施設SPring-8によるnmレベルでのX線応力計測. 高性能電子顕微鏡によるnmレベルでの結晶粒界分析と粒内性状分析. 独自設計のオートクレープによる耐応力腐食割れ材開発試験

加圧水型軽水炉耐圧バウンダリー用材料の環境助長割れに関する基礎研究

PWR 一次冷却系耐圧バウンダリー用材料のSCC メカニズムの解明と対策確立に資する為、国内電力会社、材料メーカとの共同研究により、単純化された実験室での試験結果と実機におけるき裂発生・進展挙動との比較、ならびに最新分析機器を用い、結晶粒界のナノメータレベルでの結晶構造解析、詳細解析を行い、Ni 基合金の高温高圧水中での粒界応力腐食割れ発生・進展機構解明を図っている.

放射光SPring-8 の極微小のビーム径(1µm 以下)によるX 線回折(BL24 ハッチB)で粒界応力腐食割れ試験片の粒界近傍・粒内の局所領域の応力を計測.粒界応力腐食割れには粒界の局所応力が効くことを発見.応力腐食割れ防止の為の応力制御に道を開く.(兵庫県立大学理学部、日本原子力研究開発機構との共同研究)

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耐応力腐食割れ材料開発の推進

上記の応力腐食割れの本質的メカニズム解明の先導的研究成果ならびに材料科学の原理原則に基づき、環境助長割れに対してより抵抗性が高い現行規格内改良材の開発や耐高温割れ性に優れた溶接材料の開発を推進中である.

超高分解能透過電子顕微鏡による積層欠陥エネルギー値計測、およびその計測値の妥当性について計算科学を用いて確認し、その積層欠陥エネルギー値に及ぼす化学成分の影響を基に、強加工、高照射条件下の使用にも耐え得る、且つ経済性にも優れたオーステナイト系ステンレス鋼を在来規格の範囲内または僅かな変更で達成できる新材料開 発を推進中である。

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